再建築不可物件の建て替えを可能にする裏ワザとは?リスクや注意点なども詳しく解説!
2023.09.23
再建築不可
「接道の関係で再建築ができないため、売れないといわれました」
「再建築不可物件で建築を可能にする抜け道はありませんか?」
「再建築不可の借地権を買ったのですがリフォームはできますか?」
「親から相続したのが再建築不可物件でした、古い建物で管理が大変そうです。売却するとしたらいくらで売却できますか?」
再建築不可の不動産で一番重要なことは、どれだけ価値を高められるかということです。不動産の利用価値や建て替えが可能か、といったことで価格が大きく異なります。
例えば、再建築不可の不動産には以下のようなものがあります。
再建築不可物件の特徴
- 建築基準法上の道路に接していない土地
- 道路に面していない袋地の土地
- 道路に面しているが、間口が2メートル未満の土地
- 市街化調整区域にあるので開発行為(建築)ができない
まず、知っておきたいのは、再建築ができずに担保価値が低いと判断されると住宅ローンの利用ができないため買い手が見つかりにくくなります。その場合には一般の方に購入してもらえる可能性は低いでしょう。
できるだけよい条件で売却するために、再建築不可の裏ワザ・抜け道などを確認しておきましょう。中でも、建て替えを可能とするための知識は必須といえます。
また、多くの方が気になっているのは「いくらで売却できるのか?」「不動産の価値はどれくらいになるのか?」ということです。いくらで売れるのか調べる場合、不動産会社から査定を取得します。
再建築不可物件の建て替えを可能にするには?
不動産の価値は土地の評価などから総合的に判断されますが、ネックとなっている点が解消されれば価値の向上につながります。
この章では建て替えを可能にする方法を大きく3つに分けて解説します。
まず、再建築ができるようにしたいと考えたときに、なぜ再建築ができない状態になっているのかを確認しましょう。
建て替えを可能にする3つの方法
対策 | 土地の特徴 |
---|---|
①セットバックをする | 道路の幅員が4メートルに満たない土地 |
②隣接地の土地を使う | 道路に接していない土地・建築基準法の接道義務を満たさない土地 |
③43条但書道路の申請をする | 建築基準法上の道路とは異なる4メートル以上の道路に面している土地 |
【建て替えが可能になる裏ワザ1】セットバックをする
道路の幅員が4メートルに満たない場合、道路の中心線から2メートルの位置まで敷地を後退させ、将来的に道路幅員を4メートル以上確保することで建て替えが可能になります。
敷地を後退させることをセットバックといいます。セットバックした部分は道路とみなされるので、堀や門などを建てることができないというデメリットもあります。また自治体によって道路幅の規定が異なる場合は、道路中心線からの後退ラインが変わります。(例:道路の最低幅員が5メートルと定められている場合、2.5メートルの位置まで後退する)
加えて、セットバックした部分の評価は30%となります。公衆用道路として使用されている場合には評価は0になります。
建築基準法42条2項に定められた2項道路(みなし道路)に面する土地
セットバックした部分は、将来的に道路となる敷地になるため、建築物を建てることができません。
【建て替えが可能になる裏ワザ2】隣接地の土地を使う
建築基準法上の道路に面していない場合、道路に面している隣地の土地を購入して、2メートル以上接道させることで建て替えが可能になります。
また、借地権など、土地の賃貸契約を結ぶことで隣地を借りられれば、同じように建て替えができます。ただしこの場合には、毎月地代が発生しますし、建替え時にも承諾料がかかってきます。
とはいえ通路部分の土地を取得できれば土地の評価は下がらないため、道路に面していない無道路地では通路部分を自己所有するのが理想です。
しかし、隣接している土地所有者との交渉が必要になるため不動産会社に相談をしておくことをおすすめします。
- 隣地を買う場合→土地の購入費がかかる
- 隣地を借りる場合→毎月の地代と建替え時に承諾料の支払いが必要
- 道路に接していない土地
- 建築基準法の接道義務を満たしていない土地
隣接地の買取や賃貸が、現実的には難しい可能性があります。土地の所有者の意向や交渉次第です。
【建て替えが可能になる裏ワザ3】建築基準法第43条の但し書き道路許可を申請する
建築基準法上の道路とは異なる、4メートル以上の道路(空き地など)に面している場合、但し書き道路の許可を得ることで、建て替えが可能になります。
建築基準法の道路ではなくても、敷地周辺に空き地や通路があり建築審査会の許可を受けて建築することが認められる道を「第43条但し書き道路(空地)」といいます。
自治体によって条件が異なりますが、役所に相談をしながら申請を進めていきます。
4メートル以上の道(建築基準法の道路とは異なる空き地・通路)に面している土地
必ずしも許可が得られるわけではなく、申請には手間や時間・費用がかかります。
再建築ができない主な原因は「道路」にある!?
再建築ができない主な原因として「道路」に問題があることがあげられます。
建築物の敷地は、建築基準法上の「道路」に2m以上接していないと、原則として建物を建てることができないからです。この建築基準法の「道路」というのは、次のものをいいます。
① | 道路法による道路(国道、都道府県道、市町村道)で幅員が4m以上のもの |
② | 都市計画法や土地区画整理法などの法律に基づいてつくられた(都市計画道路や区画整理、開発道路など)幅員4m以上のもの |
③ | 建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に既に幅員4m以上あった道路 |
④ | 土地所有者が申請を行い、行政から位置の指定を受けて築造された道路(通称「位置指定道路」と呼ばれています) |
⑤ | 建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に、その道に沿って建築物が建ち並んでいて、かつ特定行政庁が指定している幅員1.8m以上4m未満の道路(通称「2項道路」と呼ばれています) |
種類によって基準が異なりますが、建築基準法の「道路」の道路に接しているかどうかで建物の再建築が認められるのかが判断されることが多いです。
「敷地がどの道路に接しているのか」「再建築可能にするためにコストや手間をかけてもそれだけのリターンを得られるのか」調査しておくことが重要です。
再建築不可物件のリスクと注意点は?
ここまでは建て替えを可能にする方法をそれぞれ紹介しました。
加えて重要になるのは、再建築不可物件のリスクについてです。売却を検討するうえで大事な要素について解説します。
- 建物が老朽化すると修繕費がかかる
- 建物が倒壊しても同一の建物に建て替えできない
- 更地にすると固定資産税が上がる
- 住宅ローンが組めない可能性が高い
- 売却の際に買い手が見つかりにくい
- 違法建築で再建築ができない場合に注意
- 市街化調整区域内では開発が許可されない
建物が老朽化すると修繕費がかかる
どのような物件にも共通していえることですが、建物が老朽化すると修繕費がかかります。
特に再建築不可物件は建築基準法などが制定される以前に建てられた可能性が高いです。築年数が経過しているほど、安全性が確保できずに補強するための修繕費用がかかってきます。
その費用は建物の規模によっても異なりますが、
例えば防火性能や耐震性能が必要なケースでは、補強工事だけでも150~200万円程かかります。
建物が倒壊しても同一の建物に建て替えができない
建物が倒壊しても同一の建物に建て替えができないリスクをかかえています。地震や火災などで全壊した場合、再建築ができず家を失う可能性があります。
問題は災害発生時などに救助の車両が入りにくく、逃げ遅れなどが起こりやすくなってしまうことです。
安全性を確保するのが困難な中で、全焼、倒壊するリスクに備えておく必要があります。
更地にすると固定資産税が上がる
空き家にしてしまっていて管理行き届いていない場合の問題もあります。
更地にしても建て替えができないうえに、固定資産税が上がってしまいます。
駐車場として活用するなど、明確な目的を定めてから決めていくのが望ましいです。ただ当然ですが、車両の出入りの幅が確保できている必要があります。
敷地周辺の状況や土地の価値などを調査した上で、不動産の運用や売却方法を検討しましょう。
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住宅ローンを組めない可能性が高い
不動産の売却やリフォームの際に、買い手が住宅ローンを組めないことがあります。金融機関からの融資が受けられないのは売り手と買い手双方のデメリットといえます。現金で購入できる方がいないわけではありませんが、売却に時間を要することを理解しておきましょう。
売却の際に買い手が見つかりにくい
再建築ができない敷地には何らかの問題があるので、土地の評価方法が通常とは異なります。
金融機関の融資が利用できないと売却しても買い手がつかない可能性があります。しかし、エリアの条件次第ともいえますし、建て替えができる物件にできれば融資が使えて、一般の買い手が見つけられる可能性もあります。
違法建築で再建築ができない場合に注意
「再建築不可物件」の多くは建築基準法の接道義務を満たしていない不動産です。
一方、「違法建築物」は法律に違反して建てられた建築物です。違法建築物は行政からの改築、撤廃などの勧告が懸念されます。最悪のケースでは撤去が命じられる可能性もあります。強制力のある行政処分によって建物の使用ができなくなるおそれも否定できず売却査定などにも影響を及ぼします。
市街化調整区域では開発行為が許可されない
建築基準法の道路にフォーカスして解説してきましたが、それ以外にも建築ができない場合があります。
例えば、市街化調整区域にある不動産は、基本的には開発行為ができません。開発行為とは建物を建築するなどの行為のことです。
基本的に再建築ができない(建て替えができない)市街化調整区域内の不動産は売却が難しい物件の一つです。相続をしても土地を有効に活用できないことが多いのが特徴です。
近年では現実的な土地活用として、利用が難しい土地を売却して立地の良い賃貸不動産に買い替えたいと考える方が多いです。
土地の評価が下がる理由を知ろう!
できるだけ不動産を高く売りたいと思ったら、土地の評価について知っておくことが大切です。不動産の評価には前面道路の幅員や間口なとをはじめ、境界トラブルなどもマイナスになります。
売却価格には土地の評価が大きく影響するので、土地調査項目をまとめました。お持ちの不動産の状況と照らし合わせてみてください。
- 前面道路の幅員と間口・敷地形状の奥行き
- 未登記箇所・増改築の有無
- 傾斜・高低差・地盤
- 境界・近隣トラブル
- 売却が難しくなる事情を抱えている
- その他資料では分かりにくい内容
前面道路の幅員と間口・敷地形状の奥行き
土地の評価に影響するものとして調査項目となるのは、前面道路の幅員、間口、敷地形状の奥行きです。
前面道路の幅員が広ければ広いほど評価が上がります。また、間口に対する奥行きの割合も評価項目に含まれます。
登記簿面積と現況面積の相違も調査項目に含まれます。
未登記の建物や増改築の有無
建物が未登記の場合や、増改築などで現況と違っているケースも考えられます。周辺の建築制限なども確認しておきましょう。
傾斜や高低差、地盤など
土地の利用状況によって価格の評価が下がります。地盤に凹凸がある、振動が大きい、周辺の宅地に比べ高低差がある場合などがこれにあてはまります。
境界や近隣トラブル
土地の境界が明らかでないものや、紛争などトラブルをかかえていると、売却の際に境界の確定、トラブル解消のため手間や費用がかかってしまうことが考えられます。
事情があり評価が下がっている
不動産の性質上、売買が難しいものとして、「底地」「間口が狭い土地」「市街化調整区域」「違法建築物」「既存不適格建築物」「事故物件」「共有地」「接面道路が4メートル未満の土地」「造成や売却に多額に費用を要するもの」などがあげられます。
資料ではわかりにくい内容
現地を確認しなければわからない要因によって価格が変わってしまうかもしれません。
嫌悪施設とよばれる墓地や線路、高圧線などが近くにある場合にはマイナスとなってしまいます。
反対に、風通しや眺望など(夜景、桜、花火)のプラス要因も存在します。
生活している方にしかわからないメリットや現地で確認して気づくこともあるので、現地調査は欠かせません。
再建築不可物件を活用するには?
不動産の相場価格は変動し、時期によっても高くなったり安くなったりします。
たとえば、「建て替えができない不動産を相続したが、今後どのようにすべきかわからない」というような場合は、税務や収支のバランス、住み替えや売却のタイミングなども考えておくとよいでしょう。タイミングというのは、定期的に査定を受けることで知ることができます。
最後に再建築不可物件の活用方法について確認しておきましょう。
- リフォームをして住み続ける
- 賃貸物件として運用する
- 売却処分をする
リフォームをして住み続ける
再建築ができなくても、リフォームをして住み続けることは可能です。
実際にはリフォーム費用は高額になる可能性もあるため、いずれ住み替えや売却を検討しているのであれば、リフォーム費用などのメンテナンスコストと売却価格をしっかりと把握したうえで計画した方が良いでしょう。
また、火災保険などのリスクヘッジは忘れないようにしましょう。
賃貸物件として運用する
再建築不可物件を賃貸物件として貸し出すことで収益が得られる可能性はあります。
築年数が経過していない物件であれば十分に選択肢に入れられます。賃貸需要のあるエリアで、建物が新耐震基準で建てられているものであれば検討の余地はあると思います。
建物の築年数が経過してしまっていて、いずれ補強が必要になった時に補修コストがかかるのは要注意です。
売却のタイミングが価格に影響するため、このあたりを長期的にとらえておかなければいけません。
駐車場や倉庫として貸し出す方法もありますが、投資運用として所有し続けることは得策とはいえず、投資として考えるのであれば収支のシミュレーションと売却時に手早く売れる物件を選ぶことがポイントです。
賃料が得られる
賃貸するメリット・・・メンテナンスコストが賃料や売却価格を上回ることも
賃貸するデメリット・・・売却処分をする
住み替えや売却を検討しているのであれば、購入ニーズ・買取ニーズのあるタイミングで売却するのがより高く早く売却するポイントになります。
売却方法としては「一般の市場での売却」と「専門業者の買取」という2つの方法があります。
ただし、建て替えができない「再建築不可物件」では一般に募集しても売却できる可能性は低くなります。長期間買い手が見つからないケースも多くなります。となると、やはり確実なのは専門業者の買取による売却です。
スマセールのサービスでは複数の会社から買取査定を取得できるシステムです。通常の買取一括査定サービスの多くはマッチング会社が運用しているので、不動産の専門知識がなく適切ではない会社の紹介を受ける可能性があります。
まずは、不動産専門コーディネーターが適切な業者の選定を行うスマセールを利用するというのが安心でしょう。
不動産査定の違い
- 売却査定・・・売り出し価格を決めるための参考価格として査定する
- 買取査定・・・実際に買い取れる価格を査定する
- 買取一括査定・・・買取査定を複数社から取得できる
再建築不可物件の建て替えを可能にする裏ワザまとめ
再建築不可物件で建て替えを可能にする裏ワザの解説をしてきましたが、再建築不可物件の建て替えや売却については、専門知識のある不動産会社に相談するのが効果的です。
たとえば売却でも「価格重視の売却活動をしたい」「売却後の契約不適合責任が心配」「周囲に知られずに売却したい」「税金の支払いがあるので早く現金化する必要がある」というような様々ご要望に応じた提案が受けられます。
また、再建築ができない不動産においては、どのような売却手段が適切か判断するノウハウが必要です。
スマセールでは再建築ができない不動産、市街化調整区域、底地、借地権、ゴミ屋敷、その他トラブルのある不動産成約のノウハウがあります。
ノウハウのない不動産会社を選ぶことはおすすめしません。再建築不可物件の売却で失敗しないためのポイントをまとめると次の通りです。
- なぜ、再建築ができない状態なのか原因を確認をする
- 再建築不可物件でも建て替えができる可能性がある
- 再建築不可のリスクや注意点を理解した上で売却の検討をする
再建築不可物件を相続して「活用方法がわからない」という方は最適な活用方法を検討していきましょう。
「税金などの支払い期日が決まっているので、すぐに現金化したい」という方は、最短3日で現金化ができますので、早期の資金化で不安を解消しましょう。
「再建築不可物件を売却するか、賃貸に出すか迷っている」という方は売却査定や、賃料、税金などのシミュレーションをして長期的な戦略をたてましょう。
近年では現実的な土地活用として、利用が難しい土地を売却して立地の良い賃貸不動産に買い替えたいと考える方も増えています。状況に合わせていつでも売却できる資産に買い替えたい、早く売れる価格、高く売れる価格を知りたい、という方はスマセールにお気軽にご相談ください。
再建築不可物件のよくある質問
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相続した不動産が築50年の「再建築不可物件」でした。管理ができないので売却したいのですが不動産の価値はどれくらいになりますか?
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土地の評価額は財産評価基本通達による評価として、路線価方式と倍率方式とがあります。
路線価方式は1㎡あたりの価格のことで、路線価格が定められている地域の評価方法です。土地の形状に合わせてその土地の面積に応じて計算されます。
ただし実際に売却出来る価格とは異なります。建築計画書類や用途地域、建築基準法の道路か否かなど、現地調査や役所調査ををしなければわからない項目もあります。
不動産の価値が気になる方は不動産会社(査定は無料)か不動産鑑定士(鑑定は有料)に相談してください。
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再建築不可の借地権の売却したいです。ローンは利用出来ないと言われています。売却は可能でしょうか?
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ローンが不可でも現金で購入する方がいます。
- 現金で購入しリフォームをして住むために購入
- 専門の不動産業者が物件の買取する
- 投資物件として現金で購入
という3つのケースが考えられます。いずれにしても高値で売却するためには不動産会社のサポートが欠かせません。
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再建築不可物件を売却するか賃貸するかで悩んでいます。それぞれのメリットとデメリットを教えてください。
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再建築不可物件を賃貸するメリットは収益を得られること、デメリットは安全性を確保しなければならず、修繕費用がかかってくることです。
売却するメリットは現金化ができること、デメリットは買い手が見つかりにくいことです。
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