「底地の売却」どうすればいい?底地を売るための戦略とトラブルの解決法!〜借地・底地の基礎知識
2023.12.05
借地権・底地権
「底地を持っていることに負担を感じているので売れるのであれば売却したい」「底地を相続したが再建築不可の土地なので売却したい」こんなふうに考えている方もいらっしゃると思います。
底地の売買をするにはどのような方法があるのか?
そんな悩みを持つ方に向けて、底地のトラブルの解決法と売却方法について解説します。
底地ってどんなもの?底地・借地の違いについて
「なんとか相続税を納めたのに、地代も少ないし、いろいろと大変…」と思っていませんか?
「更新時期も近づいているし、地代も値上げしたい」そんなお声が聞こえてきそうですが、どのように対処するのが正解なのでしょうか?
まずは、底地と借地について理解することが重要です。
わかりやすく言うと、土地と建物の両方を持っているのが所有権です。
他人の土地を借りてその土地に家を建てた場合、借地権という建物の所有を目的とする権利があります。土地を借りる側の権利が借地権です。
この場合の元の土地を底地といいます。土地を貸す側の権利を底地権といいます。
底地を売却するためには、権利関係の複雑さがゆえのトラブルの対処が大変なことから、借地権も底地も単独での売買は困難といえます。
下記の表のように「底地を持っている方」と「借地を持っている方」の双方で問題があり、なかなか話が進まずにトラブルになることが少なくありません。
底地・借地の悩み・トラブル
底地権者のお悩み | 借地権者のお悩み |
---|---|
借地人が地代を滞納してる | 急激な地代の値上げを要求された |
更新料の支払いを拒絶された | 更新料を支払う余裕がない |
建て替えを承諾したくない | 建て替えを承諾してもらえない |
契約終了時に解体費用を負担してほしい | 契約終了時に借地を買い取ってもらいたい |
底地のトラブルが増えている、困ったときの5つのポイント
底地や借地は権利関係が複雑であるため、トラブルが発生する可能性は高いといえるでしょう。
もしトラブルが起こったら、どうすればよいのでしょうか。どのようなトラブルの可能性があるのかポイントを見ておきましょう。
借地人が地代を滞納している
地代の滞納を放っておくのはよいことではありません。できるだけ早く事情を確認することが大切です。
その上で、改善の見込みがないときには最終手段ととして解約の手続きに進むのが一般的な流れです。
支払いがない場合には、具体的には内容証明郵便で督促を行い契約の解除手続きを進めます。
契約解除から引き渡しまでの手続き自体は簡単にはいかないので、不動産会社を含めた専門家に相談することで被害を最小限におさえられるでしょう。
借地人が更新料の支払いを拒絶している
「更新料の支払いを拒絶された場合にはどうすればよいのですか?」というご質問を受けることがあります。
更新料の支払いトラブルを防ぐには、土地の賃貸借契約書に更新料について具体的な定めを記載しておくことです。更新時に更新料を支払う旨、金額や計算の根拠となるものなど、契約書の内容を明確にしておくことが大切です。
しかしお互いが納得した上で進めなければならず、慎重に行う必要があります。
借地権の譲渡を承認してほしいといわれた
借地人は借地権を第三者に譲渡することが可能です。そのためには借地人は地主の承諾を得なくてはなりません。
地主が、借地人の借地権譲渡を承認する際には対価として承諾料を受領できます。双方で条件の検討、交渉が重要になります。
その際には、地主自らが借地権を買い取るという選択肢もあります。
気になる承諾料ですが判例や周辺の相場、契約内容などを考慮しながら判断されます。
増改築や建て替えを承認してほしいと言われた
建物の増改築や建て替えをする場合にも、借地人は地主の承諾を得なくてはなりません。土地の賃貸借契約書には建物の増改築の禁止特約の記載があるケースが大半です。
地主が、借地人に増改築や建て替を承認する際には、対価として承諾料を受領できます。承諾料は、土地の価値や、建て替えでは建物の構造、増改築では工事内容、によって異なります。
土地の賃貸借契約が終了することになった
解約時についても気になると思います。
建物をどうするのか、明け渡し料や明け渡し時期など、解約時の取り決めをしておかないとトラブルに発展することが考えられます。
取り決めをしていなかった場合、余計な手間や費用がかかることもあるので注意が必要です。
底地はどれくらいで売れる?
いざ底地を売却するとなると、どれくらいで売れるのか知りたいと思われる方もいると思います。
売却する際の相場や目安について、詳しく説明していきます。
底地の売却相場
土地には大きく3つの評価方法(路線価方式・倍率方式・宅地比準方式)があります。その中でも需要なのが、路線価方式です。
路線価格が定められている地域の評価方法として路線価方式が用いられます。路線価が定められていない地域では倍率方式で算出します。
路線価方式は、国税庁のホームページで公開されている路線価図から評価額を計算できますので、目安となる価格としてチェックしてみてください。
※すべてに路線価が設定されているわけではないので、土地の評価を知りたい場合には、まずは路線価地域なのか倍率地域なのかを確認します。
路線価図の例
路線価図からは、「路線価」「借地権割合」「地区区分」の3点がわかります。
路線価図内の数字が1㎡あたりの価格を示しています。横にあるアルファベットが借地権割合です。
たとえば上図のように、「470C」の表記の場合では、その土地の1㎡あたりの評価額は47万円です。
借地権割合はCとありますので70%です。
地区区分は「普通商業・併用住宅地区」であるということが読み取れます。
売却相場の計算方法
路線価は実際に相続税の評価の基準になるものです。
先ほどの路線価図から、底地評価の算出をしてみましょう。
路線価図の「470C」は、土地の評価額は1㎡あたり47万円、ですので例として100㎡の広さの土地の場合には更地価格は4,700万円になります。
借地権割合70%とあり底地割合は残りの30%となります。
底地評価額の計算は次の通りになります。
更地価格 ×底地割合=底地の評価額
上の計算方法に当てはめると、4,700万円(更地価格)×30%(底地割合)=1,410万円が、底地評価額の算出結果となります。
上記は評価額を算出する際の基準となる考え方です。
実際に取引を行う金額を出すには、ここからプラス要因やマイナス要因を加味していきます。
用途地域・前面道路の幅員、資料のみではわかりにくい周辺の施設、土地の利用状況などの調査を行った上で判断されます。
底地を売却する方法
底地を売却するには「借地人に土地を売る」「専門業者に買い取ってもらう」「第三者に売却する」という方法があります。
不動産会社に買い取ってもらうのがスムーズですが、借地人に売却するという方法もあります。
借地人に土地を売る
借地人に土地を売るメリット
買い手を探す手間がなく、高く売れる可能性がある。
借地人に土地を売るデメリット
専門家のサポートが必須になる。話がこじれるとトラブルに発展するリスクもあり、取引が長期化することも考えられる。
借地人との取引を行う方法について、説明していきます。
底地を買ってもらう
借地人に底地を買ってもらえる可能性があります。一般の方に底地のみを購入してもらえるケースは少ないため、借地人に底地を買ってもらえるかをまず初めに考えます。一般の方よりも借地人の方が高い金額で取引できることが多くなります。
話の持っていき方次第では、借地人との話し合いがこじれてしまう可能性があるため注意が必要です。
底地と借地を交換する
底地の一部と借地の一部を交換できれば、お互いが所有権を取得できます。所有権を取得できれば、不動産の価値が高まり、売却の際に買い手を見つけやすく、売却金額も高くなります。
まずは土地や建物の状況が交換可能であるのかどうかを確認します。
底地と借地を同時売却する
一番理想な売り方は、底地と借地の同時売却です。その分難易度が高い売り方になるので、上手くいくかは不動産会社によっても左右されます。
売り手と買い手との調整や条件交渉から、手続きまで一般的な不動産の売買仲介とは異なります。さまざまな要因を考慮しなければならず、売却するタイミングも関係してきます。
不動産会社に売却する
不動産会社に底地を売るメリット
買取査定から現金化までの手続きが簡単で、早急に現金化できる。
不動産会社に底地を売るデメリット
不動産会社によって金額に差が出る。悪徳な不動産会社の場合、契約条件に不利な文言を入れられてしまい後でトラブルになることもある。
不動産会社に売却する方法について、説明していきます。
底地買取実績のある業者に売却する
底地を専門に買い取ってくれる不動産会社に売却することで、早急に現金化が可能になります。底地の買取実績があり、ノウハウを有している不動産会社を選ぶことで、良い条件で売却出来る可能性が上がります。
複数の業者を比較する
不動産会社に買取査定を依頼する際には、複数の業者に依頼することで条件を比較検討できます。金額だけに目が行きがちですが、誠実な対応をしてくれるかどうかもポイントです。
また、業者任せにせずに査定額や契約条件などの不明点を理解できるようにすることが大切です。
第三者に売却する
第三者に売却するメリット
借地を購入して所有権にできれば、高値で売れる可能性がある。
第三者に売却するデメリット
- 所有権にするには、借地権購入の資金が必要になる。
- 底地単独だと土地利用ができないため、一般の買い手を見つけるのには時間がかかり、見つからない可能性も高い。
借地を購入して売却する
底地や借地権は単独での売却は難しいので、「所有権にして売却すれば高値で売れる可能性がある」と覚えておいてください。
借地権を購入するにはその分の資金が必要になり、借地人との条件交渉も重要です。借地人との交渉を引き受けてくれる不動産会社へ相談する必要もあります。
投資家に売却する
底地は土地を貸している状態で、土地利用ができないため、一般の買い手はなかなか見つからないことが多いです。
ただし、投資として運用したい方には売れる可能性はゼロではありません。
底地を高く売却するための2つのポイント
底地の売却価格を上げるためには、気をつけなくてはならないことを2つ紹介します。 大切なのは売却までの調整部分や話し合いにエネルギーを使うということです。
- 専門家のサポートを受ける
- 買取査定を複数社に依頼する
専門家のサポートを受ける
底地の売却で失敗しないために最も大切なことは、専門家のサポートを受けることです。
具体的に売却が難しくなるポイントを把握していて、土地の関係者、購入者との調整をしてもらえる場面も多々あります。
経験からくるリアルなアドバイスを受けること、第三者の立場で交渉を行ってもらうことが、売却を成功させるポイントになります。
買取査定を複数社に依頼する
底地を、不動産会社・第三者に売却するには査定を出してもらうことから始まります。
精度の高い査定をしてもらうことが重要で、底地における幅広い知識や経験が求められます。
底地の売却で後悔しないためには複数の業者に、査定を出してもらい価格だけでなく条件なども比較するようにしましょう。
底地売却のまとめ
底地を売却しようと思ったら、「実際にいくらで売れるのか」「周りではいくらで取引がされているのか」気になりますよね。
不動産の売却相場を知るには土地の評価方法を確認しておく必要があります。
ご紹介した通り路線価方式から売却相場の目安が調べられるので、底地の売却を考えている方は参考にしてみてください。
詳細には現地調査や役所調査を行うことで、確実性の高い金額が算出されます。
分筆を繰り返しているために、地積測量図が古く現況と異なる場合には、測量の必要性なども生じてきます。トラブルの有無や複雑な要因により売却価格が決まるため、売却を考えている場合には専門家である不動産会社に依頼をしましょう。
スマセールは「底地・借地」「再建築不可」「既存不適格」「トラブルを抱えている物件」「市街化調整区域内」などの、一般的な不動産会社で取り扱いが難しい物件を専門にサポートをしています。
底地を売却する際には、「資産価値」と「底地を持ち続けるメリット・デメリット」の2つの視点から売却を判断されることをおすすめします。
地主さんのお悩みの多くは、土地をたくさん持っていて納税に困ってしまい土地を売らなければくなる、ということがあげられます。ですが、底地や借地など不動産によっては相場が出しにくいものもあります。
底地のお悩みを解決したい方へ
- 「底地を売却したいけれど、売り方がわからない」
- 「底地の価値がどれくらいなのか知りたい」
- 「売却したいけれど共有者との意見がまとまらない」
- 「相続税を軽減させたい」
- 「今から相続税の対策をしておきたい」
- 「借地人との話し合いがうまくいかない」
- 「底地の所有者が認知症になってしまった」
- 「まとまった資金が必要なのですぐに売りたい」
このような方からのご相談を承っております。上記以外のご相談もお気軽にお問い合わせください。
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