借地権を売却する際の仕訳方法は?売却の注意点についても解説!
2023.12.02
借地権・底地権
借地

個人事業主や法人が所有する不動産を売却する際に必要となるのが会計処理。借地権の売却ではどのような仕訳になるのか解説します。
借地権とは建物を所有するために土地の持ち主から土地を借りる権利です。借地権には地上権と賃借権がありますが、どちらの場合でも会計上は「借地権」として処理されます。
今回は借地権の設定時、更新時、売却時なども併せて仕分け方法をご紹介していきます。
この記事でわかること
- 借地権設定時・更新時・売却時の仕訳方法
- 借地権のメリットとデメリット
- 借地権売却の注意点
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借地権売却時の会計処理とは?
個人が居住用として家を所有する場合には会計処理は要りませんが、個人事業主や法人が事業用不動産の売却や、個人でも不動産投資などを行う場合には会計処理が必要です。
具体例としては、法人が借地権が設定された土地に自社ビルを建設する、個人が借地権のある戸建てを購入し賃貸に出すなどがあげられます。その他にも様々なケースがあります。
もちろん地主さん側の仕訳と、借地人さん側の仕訳は違いますが、ここでは主に借地人さんの仕訳を中心にみていきます。
借地権の設定から売却時の仕訳について説明します。
借地権の仕訳例(1)※借地人側
①借地権を使用するため権利金として、現金で3,000,000円を支払った。
(土地の時価×借地権割合)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
借地権 | 3,000,000 | 現金 | 3,000,000 |
その後地主さんの承諾を得て売却することになった。
②借地権が設定されている建物を売却して、4,400,000円が振り込まれた。
(建物:簿価750,000円)(借地権:簿価3,000,000円)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
預金 | 4,4000,000 | 建物 | 750,000 |
借地権 | 3,000,000 | ||
固定資産売却益 | 650,000 |
通常の借地権の売却では地主さんの承諾が必要です。なお、地主さん側では借地権を設定することによって土地の価格が下がります。その際には地主さん側は低下割合によって損金にできる場合があります。
借地権の仕訳例(2)※借地人側
①土地を利用するため借地権を設定し、小切手で1,000,000円支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
借地権 | 1,000,000 | 当座預金 | 1,000,000 |
②借地権を更新するために地主さんに更新料50,000円を小切手で支払った。借地権の時価は1,250,000円。
(借地権償却費=借地権の帳簿価格×更新料の額÷更新時の借地権の時価)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
借地権 | 50,000 | 当座預金 | 50,000 |
借地権償却費 | 40,000 | 借地権 | 40,000 |
一般的な更新料の目安としては、法律で決まったものはありませんが、更地価格の3%が目安といわれています。
借地権の仕訳例(3)※地主側
地主さん側の仕訳について説明します。
①借地権を設定して、権利金1,000,000円を小切手で受け取った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
当座預金 | 1,000,000 | 権利金収入 | 1,000,000 |
②借地権の更新で、借地権の更新料50,000円を小切手で受け取った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
当座預金 | 50,000 | 更新料収入 | 50,000 |
借地権のメリットとデメリット
一般的に借地権というと、権利金の支払いに加えて、地代の負担が発生します。
ではなぜ、わざわざ借地権を利用するのでしょうか。それは借地権を使うメリットがあるからです。
ですがデメリットもありますので、メリットとデメリットの整理をしておきます。
借地権のメリット
- 所有権よりも借地権の方が安く購入できることが多い
- 立地の良い場所であることがある
- 土地の固定資産税や都市計画税がかからない
- 借地権を売却することもできる
借地権のデメリット
- 地代を負担しなければならない
- 銀行からの融資が受けにくい
- 将来的に土地を返す必要がある
- 建物の売却や増改築には地主さんの承諾が必要(賃借権の場合)
総合的に判断すると、地代を負担したとしても立地の良いエリアの土地が多く所有権よりも安く購入することができるので、不動産投資も含め事業用として利用しやすいといえます。
ただし、自分の土地に出来る所有権ではないので、ある程度の知識を持つことが求めらます。
借地権売却の注意点とは
借地権の売却ではトラブルとなることが多いので、スムーズに売却するための注意点についてご紹介します。
まず売却をするときには地主さんの承諾が必要です。
借地権には賃借権と地上権があり地主さんの承諾が必要なのは賃借権で、不要なのが地上権です。賃借権は未登記の場合が多く、地上権には登記義務があります。
- 賃借権→売却には地主さんの承諾が必要 ※未登記の場合が多い
- 地上権→売却には地主さんの承諾は不要 ※登記義務がある
売却時には「できるだけ高く売りたい」と思われるのは当たり前のことです。借地権をできるだけ高く売るためには、地主さんとの協議が重要になります。スムーズに売却を進めるためには不動産会社に間に入ってもらい相談しながら進めた方がメリットが大きくなります。
なお第三者への売却の承諾には、地主さんへの承諾料の支払いが発生することが多いです。承諾料がいくらになるのかは不動産会社の査定を活用していくことになるでしょう。
借地、底地の売却方法についてはこちらの記事で解説しております。


借地権売却時の仕訳まとめ
借地権の売却は、居住用か、事業用かということで会計処理が異なります。
また、不動産の価格は変動しますので売却のタイミングによっても差が生じます。
「タイミング的にはいつ頃売却するのがよいのだろうか…。」「今、売却をすればいくらで売れそうか?」「自社にあった売却先ってどこだろう…?」などなど、疑問や悩みが多いはずです。
借地権は所有権とは違って、売却方法も様々で一筋縄ではいかないことが少なくないです。売却時にはトラブルになりやすいといえるでしょう。
借地権売却は複雑で、地主さんに購入してもらう、等価交換をするといった売却方法もあります。専門的な知識やスキルが必要となり難易度が上がるので不動産会社のサポートが欠かせないものになります。
買取を依頼するにしても適した買取業者を選ぶだけでも手間がかかります。【スマセール】ではご相談から最適な買取業者のご紹介が可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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